人間をクラス分けするということ

ドクジリアン柔術少女 すから☆ぱいそん

合理主義への転換を急ぐ前に心の片隅に置いておいた方がいいかもしれないことについて

ちきりん女史という人の 下から7割の人のための理科&算数教育 という記事が物議をかもしております。要するに、

科学についての教育なんてそれに向いてる3割の人にだけ行って、残り7割にはもっと生活面で実用的なことを教えるのに時間を割いた方がいんじゃネーノ

っていう趣旨です。

この猛烈な勢いでキャストされた釣り針にナイーブな理系男子が続々と釣られているさまが観測されております。たいてい、元記事をところどころ引用しながら「何を言うか!科学は大事だ!」という趣旨の長いマジレスをひたすら書いているというスタイルですね。

これに対し、やまもといちろう氏(a.k.a.切込隊長) という方が「役に立つ知識」としての学問という記事にて、長いマジレスから要点を見事にピックアップして2点にまとめ、(ちきりん女史への反論に)賛同の意見を述べています。顔真っ赤にしてないで相手の要点を正確に読み取り、自分も要点だけ押さえて反論すればこんなに時間が節約できるんだよという良いお手本だと思います。長いの誰も読みたくないよ。

ちきりん論への(やまもといちろう氏が個人的に賛同する)2点の反論とは


■ まずは体系的な科学的知識を構築することを試みてみない限り、上3割も下7割も分からないであろう
■ 「どうせ分からないから」「社会で役に立たないかもしれないから」教えないのは、子供が取り組む未来の可能性を狭める

「役に立つ知識」としての学問

ということだそうです。その一方で、ちきりん氏の


「全員で同じことをやるのが平等だ」という歪んだ平等思想こそが、多くの人たちを不幸にしていると思うのです。

下から7割の人のための理科&算数教育

という主張にも一定の理解をしめしておられます。この一文じたいには私自身も賛同するものです。

さてこの問題、理数の話に限らず一般に当てはめるとこういう話に近くなってきます。

ちきりん女史の主張が究極的にはここにまで到達するのか、さしあたり理数系の話に限ってそう考えておられるのかは想像するしかありませんが、件の記事全体をあまり好意的とは言えない方向に解釈すれば、上記のような言い換えが成立するのは否めません。

3割の方に入って生きるか、7割の方に入って生きるか個人の自由に決めればいいし、気が変わったら相互にクラスチェンジすればいいとちきりん女史はお考えかもしれませんが、それは難しいと思います。7割の方を選択した人たちのご子息は7割の方にどうしても固定化するでしょう。世襲制ですね。後で気が変わってクラスチェンジをしようにも、それこそ早いうちにコース分けがされてしまっていては(やまもといちろう氏が要約したちきりん女史への反論にもあるように)それは一方通行です。

しかしながら、ちきりん女史とは無関係ですが伊賀泰代さんという方がいらっしゃいまして、その方のキャリアやバックグラウンドを考察すれば、(ちきりん女史と伊賀泰代氏は無関係ですが)ちきりん女史が比較優位説に基づく合理的な思考の末そのような考え方に至るのは道理とも言えます。そう考えれば、私も理系の端くれであるとはいえ彼女が「科学など重要ではない」とも取れてしまうような(趣旨はそういうことではないにせよ)主張をしていたとしても顔真っ赤にして反論したりする気も起きません。人は人、自分は自分、それぞれ異なる背景を持っているのです。自分のアタマで考えれば良いことでしょう。


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それでも一つだけちきりん女史に意見したいことがあるとすれば、女史はかねてより「細やかな気配りサービスの行き届いて清潔な日本」を大変良い所と評しており、(女史のステータスからすれば海外に住むことも可能でありながら)ずっと日本に住むつもりだとおっしゃっておいでなのですが、その細やかな気配りやサービスの行き届いた社会は何のおかげで実現しているのかということにも少し想いをはべらせていただきたいということです。

(特に途上国に見られるように)「学問」のレベルに極端な格差がある国では、こんなモラルの高い社会は実現できるでしょうか。つまり、将来本当に日本人全体を7:3にクラス分けしたとして、7の方の人たちは今と同じくらいの高い意識を持って仕事に従事できるでしょうか。学問の格差と労働者のモラルについてどういう相関関係があるか、無学の私にはここで示すことがかないませんが、少なくとも無関係ではないと考えています。あるいは、ちきりん女史のような学識の高い方にとってはそんなことは百も承知なのかもしれません。もしわかってて言ってるなら、ほうぼうの国から税金の安さを餌に優秀な人だけ集めてお金を稼ぎながら福祉のコストから逃れているシンガポールのようなフリーライディング国家とちきりん女史との間に何か通じるアンフェアさを感じるのを禁じ得ないところであります。

私からは以上です。

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