企業向けニッチ製品にフリーミアムは通用するのか
ドクジリアン柔術少女 すから☆ぱいそん2015年になったので何となく脳内経営会議の内容を晒します。
新年あけましておめでとうございます。当社は去る1/4をもちまして法人設立から満7年となりました。本年も宜しくお願いいたします。創業日が正月明けだとこの挨拶がテンプレのように毎年使えるから便利ですね。
ところで当社は主にソフトウェアの開発を生業としていましたが、今はとりわけ懇意にさせていただいているお客様からしかソフトウェア開発の仕事は請け負っていません。理由はまあ色々あるのですが、伝統的に日本の産業界ではソフトウェアはハードウェアのオマケとしての低い位置づけで扱われてきた文化的背景からソフトウェア技術やその価値に対する世間の理解が遅れていることは否めないということを念頭に、 「パズドラみたいなアプリを作って下さい。iPhoneとAndroid対応でお願いします。予算は15万円です。プログラミングなんてキーボード打つだけでしょ。審査?サーバー?よくわかりません※」のごときアグレッシブな依頼がクラウドソーシングサイトを飛び交う状況から後はお察しいただければ幸甚です。※あくまでデフォルメ表現です
というわけで下請けのようなお話は原則(あくまで原則ですよ?)としてお断りし、当社の持つ知見や経験に価値を見いだし本当に必要としてくださるお客様に直接モノやサービスを提供する方向を模索している昨今です。誰も彼もが欲しがるような商品やサービスを作り出すなどということは不可能ですが、世の中にはニッチな需要というものがあるので、掘り出すことさえ出来れば当社のような零細企業が毎日もやしを食べて我慢すれば存続できる程度の売り上げを確保できるかもしれません。
ニッチな需要と一口に言っても対象を決めなければ商売になりません。数をこなす必要があり手もかかるばかりかちょっとした不手際で感情的な集団攻撃に晒されるリスクのある個人向け財市場は当社のような零細企業には向きませんから、必然的に企業へとターゲットを絞ることになります。一般に慣例やコンプライアンス等と呼ばれるカースト制度により大きな企業は当社のような零細企業とは取引できませんので、消去法により想定されるお客様は中小企業です。中小企業庁の資料によれば、中小企業(数名規模のきわめて小規模な事業を除く)は日本に50万社ほどありますので、その中にはニッチな需要もあるに違い有りません。
しかしながら、問題はそのようなユーザーにリーチする方法です。インターネットの普及と発展により、広告代理店なる文系リア充のすくつみたいな業者と付き合うことなく誰でも直接顧客にリーチして取引ができるようになったとはいえ、それでもリーチするには Google様にお金を払って広告を載せて貰わないといけません。どうやらカネを払う相手がリア充からギークに変わっただけのようです。テクノロジの進歩で間口が広がろうがカネはどのみち必要、世の中のルールはかくも残酷なまでにシンプルです。
何か企業向けのモノやサービスを売ろうとしたとき、Google社の広告サービスで人をひとりサイトに呼び込むのにおよそ30円から数百円かかります(この価格をCPCといいます)。100人に一人が興味を持って試用ユーザー・無料ユーザーとなり、さらにそのうち100人に一人が予算の獲得に成功し有料サービスの購入に結びつくとなると、最終的なCVR(成約率)は1万人に一人つまり0.01%となり、顧客獲得にかかる広告費の単価は30万円から数百万円となります(個人向け商品と違い口コミによる情報拡散は起こらないため、いわゆるグロースハックと呼ばれるような手法でこのコストを圧縮するのは無理といっていいでしょう)。売上に対する広告費の健全な割合を仮に 15%~20%と考えると、広告費をペイするための顧客単価は 200万円から数千万円ということになります。
うん、無理だね。常識で考えて。「無料(試用)版と有料版があります、有料版は200万円です」ってなんだよ。5万円のハコとか5万円のソフトとか売ってる場合じゃねーよ(あえて何のことかはみんな興味ないと思うのでリンクしない)。
当社では、中小企業にお勤めで 200万円の決済をやすやすと通せるだけの盤石な社内権力を持った層に訴えかけることのできる素晴らしい商品やサービスのアイディアを常に募集しています。
同じカテゴリの記事
カテゴリ ドクジリアン柔術少女 すから☆ぱいそん の記事一覧【宣伝】ドンキに行ったら外国人がすごかった(メディアファクトリー社刊) 2014年12月18日
オタクと常識人 2014年12月5日
テキトーな人達と、不必要に細かい人達 2014年11月30日
SPAとログイン認証 2014年11月27日
お勧めカテゴリ
なじみ深い日本製アニメの英語版DVDで、字幕と音声から英語を学びましょうという趣旨のシリーズ記事です。
Scalaと Spring Frameworkを使って REST的なJSON APIを実装してみましょう。
代表 嶋田大貴のブログです。写真は神仏に見せ金をはたらく罰当たりの図